こひつじアート

おとなたちへ

2010.11.17

おとなたちへ

子が
なぜ と
傾げる首に
おとなよ
頭を垂れよう

おとなは
訳知り顔を捨て
子の 問いのひとときに
問いのまま
包まれよう

たとえ
なぜ と問う
子の視線が
おとなの背に
遠く届かなくとも

その答えが
おとなを超えた
はるかな位置に
立ち上がる日が
訪れる

子どもの なぜを
おとなよ
両の掌に包み
天にかざそう

やがて
世界を拓く
する知識に
汚れないように

子どもの なぜは
世界を新しくする矢
光る
神の矢

おとなの仕事は
本当の仕事は

なぜ どうしての矢が
深く 高みへと
向かうよう

その
光る弧を
見守ること

背を伸ばし
祈りをこめて
見届けること

詩 ・ 浜 文子